階段は十三段ある。上ると十四段になる。
降りると九段しかない。
電話が鳴っている。受話器は塩でできていて、
持つと崩れる。崩れた塩が床で数字を作る。四。四。四。それからはない。

隣の部屋の人は昨日から魚です。
魚は郵便受けに住んでいる。請求書を食べて、
夜になると私の名前の一文字だけを吐き出す。
その一文字を拾って食べたら、舌が畳になる。
畳は何も言わない。畳は正しい。

十一時が三回来た。
一回目の十一時は冷蔵庫の奥に。二回目はバス
の運転手の左手に。三回目は、いま、あなたの後ろに立っている。振り向かないでください。
振り向くと、そこは昨日の日曜日です。日曜日には扉がない。

白い犬が会議をしている。
議題は橋について。誰も橋を見たことがない。
橋は黙って議事録のなかを歩いていく。犬たちが一斉に拍手をする。拍手の音は全部、雨の匂いがする。

わたしは鍵を持っている。
何の鍵かは、鍵に聞いてください。鍵は言う。
みかんの内側と。みかんの内側には小さな駅があって、電車は来ない。来ないことが時刻表に書いてある。時刻表は今朝、薄く切って焼いて食べた。

ぐるぐる、ぐるぐる、
蛇口から階段が流れてくる。
上りか下りかわからない。
ただ十三段、十四段、九段、だれかがずっと同じ椅子の脚を数えている。脚は三本。四本。
ない。

おやすみなさい。
おやすみなさい。おやすみなさい。
朝はもう配達されました。

JUST GO BACK